僕と東大と半生記

編入するとは…?

東大編入とは…? ~東大編入試験体験記~

 

  『僕、東大に編入します。』

 

おそらく、ピンとくる人は少ないと思います。

僕がなんでそんなことを思ったのか、編入って何なのか。

少しでも気になったら、読んでいってほしいと思います。

 

 

 

一丁前にこんな体験記を書くのはこっぱずかしいですが、東大編入試験を終えたので体験記を書くことにしました。体験記って言っても、編入って何?っていうとこから書くことにします。

いかんせん僕は普通の受験をしてないので知らないことも多く、ちょっと間違ったこととか、僕ら編入生に対して不満を感じることが書いてあるかもしれません。。。なんでお前らが受かってんねん、ズルいわって思われそうで怖くて…。先に謝っておきます、ごめんなさい。

先に言っておくと、この文章初めから全部読もうと思ったら10分くらいかかると思います。

そんな文章でも、読もうと思ってくれる方は暇なときにでも読んでみてください!

 

編入についてはよく知ってる!という人用のショートカット

 

 

 

 

 1.東大に編入するってどういうこと?

東大編入高専

みなさん、高専って知ってますか?

僕自身日常生活で学校とかを聞かれる機会が多く高専と言うのですが、高専の認知度がかなり低いのを感じます。。

高専は、高等専門学校の略で、めちゃくちゃ簡単に説明すると“5年生の高校”といったところですかね。高1から一般科目と専門科目がある、高校と大学が混ざったような学校です。

なぜ高専の話をするかというと、東大からの学部編入は工学部のみが募集しており、高専生のみが受験可能だからです。工学部のうち学科を決めて受験します。

 

僕は明石工業高等専門学校 https://www.akashi.ac.jp/ というところに通っているのですが、明石高専の授業の内容を少し。

うちの学校では、専門科目もやりつつ、高2で数Ⅲ・数Cが終わります

数Cは高校過程じゃないので、実質高2から大学範囲の数学が始まる、ということです

理系に全振りしてるかと思いきや、社会も日本史A・世界史A・地理A・政治経済の4つやります。“専門学校”という名前なので下に見られがちなんですが、実は普通に勉強をしているんですよ…。

 

 

 僕と高専

僕が高専に入ろうと思ったきっかけは他でもなく、“楽しそう”だったからです。

元々地元の進学校に行く心づもりだったのですが、「あんなカッチリした校風絶対向いてないで」と母親に高専を勧められ、その時初めて高専の存在を知りました。ギリギリまで悩んでいたのですが、自由で楽しそうやなと思って受験することに決めました。

明石高専を受け、落ちたらすべり止めとして長田高校or神戸高校という普通校を受けようとしていました。

迷っていたので後は半分運任せで、高専では推薦入試だけ受けて学力入試の欄には斜線を引きました。高専生にはわかると思いますが、意味わからんくらい破天荒な出願をしました。

 

大学に編入する道もあると知っていたので、“5年通って機械工学科が向いてないと思ったら大学で学部・学科を変えよう”と思っていました。無事に合格して、5年間高専に通うわけですが、自分にとってはスゴく向いていたなと思いました。

普通校に比べて時間もたくさんできたので、1ヶ月留学したり、SEEDSという阪大の高校生研究プロジェクトをしたり、高校生クイズの全国大会に行ったり、めちゃくちゃ充実したものになりました。

勉強も、「受験のための勉強」でなかったからこそ楽しいと思えたのかな、好きになれたのかなと思います。普通校に行っていたら、もしかしたら僕の勉強意欲はなかったかもしれません。

元々高専入学の段階で編入の道を考えていたのですが、高専での勉強を通して“僕はもうちょっと勉強したいな”と思えたので大学編入をすることに決めました。

 

 

大学編入とは?

高専生には、卒業後に大きく 1.就職 2.大学編入 という選択があります。

大学編入とは、高専5年の6~8月頃に編入試験を受けて合格すれば、大学3年に編入することができる制度です。

高専からの編入は、受験する大学数に制限がありません。

 1.日程が被らない限り

 2.入学確約書の締切が来ない限り

何校でも受験できるというところがあります。

(1.僕らの年は、阪大(工学部)と岡山大の試験日が被っていました。

 2.入学確約の締切の都合上、神戸大のすべり止めとして大阪府立大や大阪市立大などを受けることはできません。)

 

よく「高専から大学編入するのは楽」っていうのを聞きます。僕も正直そうやと思ってました。現に編入じゃなかったら僕も東大受けようなんて思ってなかったと思いますし、正直あんまり認めたくないはないんですが東大に通ることもなかったのかなと思います笑笑

でも実際のところそこまでは甘くなかったですね…。受験の時期、半年間以上もの間1日12時間以上受験勉強に費やしていた友達もクラスに数人いました。

編入とは言えど、普通に受験勉強に全力を注ぐ普通の受験生になりました。(「高専からなら余裕で旧帝大にいけるやん!」なんて思ってると痛い思いをするかもしれないので気を付けてほしい!そういう人は編入試験の過去問を見て考えてみてほしいです。。。)

というのも、試験内容が普通の受験と全然違うからです。

 

 

編入試験の内容

編入試験の内容は学校によって様々ですが、大体の学校が、大学2~3年生までの範囲です。(たぶん)

 

僕が出願した大学では全て機械工学系の学科を志望したのですが、その試験科目を挙げると、

  東大              …英語・数学・理科

  阪大(基礎工学部)…英語・数学・材料力学・流体力学・熱力学・機械力学

  阪大(工学部)      …英語・数学・物理・材料力学・流体力学

 

イメージしたい人のために具体的な内容をいくつかあげると。。。

英語…普通に大学受験と同じ感じ(むしろちょっと簡単かも?)

数学…大学2年生くらいまで。

  微分方程式とか固有値固有ベクトルとか実数積分への複素積分の応用とか確率統計とか。。

物理…大学2~3年生くらいまで。

  ただ僕が受験した年の東大はバグってて、交流回路の共振周波数とかn自由度系の変位振動とかいう物理という名の専門科目が出ました。

専門…大学3年生まで。

  カスティリアーノの定理(材料力学)・複素ポテンシャル(流体力学)・カルノーサイクル(熱力学)・2自由度系の振動(機械力学)とかまでの範囲。

 

科目数は少ないですが、範囲がバカ広いです。

これを19歳にやらすんですよ…?恐ろしい。。。

 

また、後述しますが、東大は2年次編入となります。

2年に編入ということは、普通に考えたら大学1年生までの勉強でいいはず…ですよね?そう思いません?

でもなぜか、試験では大学3年生の範囲まで問われるんです!なんで!

 

 

 

2.東大受験を決めたきっかけ

東大との出会い

大受験なんて考えたこともなかったのですが…。

ある日、個別懇談会から帰ってきた母が突然「東大行けるんちゃうん???」と一言。ビックリしました。高専1年生の時は、学校の定期テストをきちんと勉強して挑んでいたので順位が2位とかだったので、それの影響もあってか先生が東大の名前をチラッと出したそうです。

今まで受験するなんか考えたことがなかったので、遠い存在だった東大がかなり近く感じられたのを覚えています。

(後で知るのですが、母は冗談交じりで言っただけで、行ってほしいとは思ってなかったそうです。)

 

 

エミレとちっちゃな東大 

明石高専は留学する機会が多く、僕は高3のとき『トビタテ!留学JAPAN』という奨学金制度(?)を使って1ヶ月間アメリカ・サンフランシスコに留学しました。ホームステイ先で一緒になったトルコ人留学生エミレとある日、大学進学に関する真面目な話をします。

エミレは、めちゃくちゃ海外の大学進学を薦めてくれました。海外の大学に行く気は今のところないよ…と話をすると、その時にエミレがこんなことを言います。

 

『日本で一番の大学ってどこなんかな。東京大学…?世界で32位かー。まぁ海外の大学が嫌なら、ここに行くといいよ。』

 

妥協気味にそんなことを言ったのです。そのとき、「あ、東大って世界で見るとちっぽけなもんなんだなー」って思って。それなら僕も迷ってないで東大受けてもいいかなって思いました。

 

 

東大と阪大

東大を希望していた理由として、研究の種類・研究費の豊富さは魅力でしたが、これは正直建前なのかもしれません。研究室も片っ端から調べたりしましたが、将来研究や仕事をするにあたってネームバリューが強いとか、もっと上を目指したかった、っていうのが本当の理由な気がします。どの分野もいざやってみると楽しいんだろうな、と考えたら、よりレベルの高いものを受けたいなって感じました。

学科は、東大は機械系学科群(機械情報工学科)というところを志望しました。僕は夢という夢は持っていないんですが、昔から自分の好きなことを通して“人の役に立つもの、人を笑顔にできるものを作れたらいいな”と思っていました。そんな中で、機械や情報を通してものづくりをするのが自分のやりたいことに近いと思い、この道を選びました。

不安要素としては、東大って自分の性に合っているのか、逆に東大って今後避けられる要因にならないのか(最近テレビの印象操作が酷いので…)とかもあったのですが…

 

その中でも、僕にとっての東大編入の大きなデメリットが2つありました。

1つ目は、『学年が1コ下がる』ところ。

普通は高専5年→大学3年編入なのですが、東大・京大・一部の大学は1学年下がることになります。その1年が、僕にはかなり大きく感じました。なんなら今も感じていますし、もったいなく感じてしまいます。

2つ目は『下宿することになる』ところ。

東京への下宿にかかるお金は馬鹿になりません。

 

それと引き換え阪大だと、3年次編入に加え家から通えるという状況でした。研究内容も、東大阪大どっちも同じくらい面白そうで。

 

僕の家は悲しくも貧乏なので、東大に行ける保証はありませんでした。

「1年を犠牲にして、しかも下宿してお金をかけてまで東大に行く価値はあるのか…?」とずっと悩んでいました。そして、お金の負担が大きいということもあり家族は東大受験に賛成ではありませんでした。

だから皆さんに1つ、覚えてほしいことがあります。学力があるからといって行きたい大学を受験できるのは当たり前じゃない、ということです。僕は貧乏ながらも幸いに親に恵まれ、もっとお金があればと望んだことはありませんでした。でもこのときばかりは、お金の面で気にせずに道を決めれる人を羨ましく、そして妬ましくすら思いました。

これは僕が思っただけのことなので、だからどうしろという訳ではありません。みなさんには関係ないことなんだと思います笑笑 でももし、あなたが僕みたいな経験をしたことがないのなら、その環境をくれた家族にちょっとだけでもいいから感謝してほしいな。その環境を当たり前と思って無駄にすることはしてほしくないな。と、僕は強く思います。

 

 

東大への挑戦

東大と阪大、どちらを第1希望にするか悩んでいる中で、1つの不安が出てきました。“お金を理由に東大受験をやめたら、『俺東大受かってたかもしれんわ』っていう後悔が残ってしまうんじゃないか”ということです。実際はそんな実力なんてないのに、受かってたかもなんて思ってしまうのは最悪だなと。

そんなくだらないプライドを引きずるのだけは嫌だと思って、東大を第1志望にするか第2志望にするかわからないにしろ、受験だけはしようと、自分の実力を知ろうと決意しました。

 

 

 

3.編入への受験勉強内容

編入への受験勉強

いよいよ受験生となり、受験勉強を始めていきます。

こんだけ偉そうなことを言っておきながら、(自分の中では今までにないくらい頑張ったつもりだったのですが)僕の勉強時間はクラスメイトと比べても群を抜いて少なかったです。

 

受験勉強の内容 続きはコレ↓

(こっちは細かい勉強内容をメインに、受験を決めてからの動きを書きました。興味あったら読んでみてください。)

 

 

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編入試験には赤本もないので、ほぼ全部独学。割と好きだった勉強が嫌いになりそうな日もありましたが… 

僕は東京大学工学部 機械系学科群という学科に合格しました。僕よりも周りの人が喜んでくれたのが印象に残っています。終始、僕は周りの人に恵まれてここまで来ることができました。

東大に合格してからも、第1希望を東大にするか阪大にするか最後まで悩んでいました。でも、何かあったら周りが支えてくれそうということで親が安心してくれたこと、そして僕はやっぱり東大に行きたいなと思い、東大を第1希望にして、僕の編入体験記は幕を閉じます。

 

 

 

さいごに:僕と東大

編入する人が偉そうに語れることでもないのかもしれませんが…。最近はテレビなどで東大生が取り上げられることも多く、なかなか偏見もすごいようです。

僕が東大を目指そうと思った一つの理由として、ふと『得意なことを伸ばしたい』と思ったのがあります。

 

僕は小さい頃からテニスをしてきました。中学も高専もテニス部に入り、振り返れば10年間以上テニスをやってきました。でも、びっくりするくらい上手くならず、楽しくもない時期が多くありました。たぶん自分はテニス向いていないんだと思うんですが、なぜかここまで続けてきました笑笑

じゃあ何が向いていたんだろう、と考えると、たぶん勉強だったんです。勉強はどちらかといえば好きだったし、なんなら定期テストとか好きでした。人に教えるのも好きで、個別指導のアルバイトもしていました。そんなときに、「じゃあ自分ができるものって勉強くらいだし、頑張ってみるか。」と、上を目指そうと思いました。

テニスが上手い人がいたり、ピアノが上手な人がいたり、勉強が得意な人がいたり。ただそんだけなんだと思います。東大生だから凄いわけじゃなくて、たまたま勉強が得意なただの人なんですよね。みんな一緒です。だから、「東大生だから…」なんて思わないでほしいと、僕は思います。

 

 

こんな長い文読んでいただいてありがとうございました。面白い文章が書けなくてすいません!

思ったこと、励まし、文句でも、ほんと何でもいいんでコメントくれると嬉しいです。

来年から、僕は東京大学生になります。編入というのは考え方によっては裏ルートなのかもしれません。大学入試をくぐり抜けてきた人にとっては、編入に不公平さを感じることもある気がして、敵対視とかがないか正直これから不安です。

合格はゴールじゃなくて、スタート地点…いや、通過点なのかもしれません。

これから頑張ります!